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4:パークハウス フォレストリエ 世田谷創造の杜

写真=石塚元太良 文=渡辺雄介

「彼のいる街へ行く」
彼のいる街へ行く
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どこの馬の骨とも知れない男に娘をやれるか!」そんなドラマみたいな言葉を投げつけられたら、どうしようか、あまりにベタすぎて笑ってしまうかもな、そんな事を思っていた。

つまり私には緊張感がなかったのだ。いや、緊張したくなかった。

つまり現実逃避だ。「彼」が待つ家へと結婚の挨拶に行くから。


私が5年来付き合ってきた彼女であり、「彼」の一人娘は、大事に大事に育てられてきた。

それは彼女を見れば一目瞭然。

「明日からダイエットする」が口癖の、いわゆるポッチャリだ。

親から甘やかされ、自分にも甘くなってしまうタイプだった。

その分、私も甘やかしてくれるから、5年も一緒にいる事ができたのだけれど……。


いざ彼女の家へ到着すると私は本当に笑ってしまいそうになった。

「彼」は、娘に輪をかけたポッチャリ。

「明日からダイエットするから」と言いながら、ラーメンをおかずにカツ丼を食べる人だった。

これなら緊張せず、気楽にやれそうだ。

そう思った。


甘かった。

「絶対に幸せにします。娘さんを僕に下さい」そう言った途端、「彼」は押し黙った。

ただの一言も喋らない。

「お願い、父さん」と娘が懇願しても「彼」は無言で甘いお菓子を食べ続ける。

私は頭が真っ白になった。


帰り道、駅まで送ってもらう車の中でも、「彼」は無言だった。

唯一、途中で屋台のたい焼きを見つけ、買いに行く際に「待ってろ」と言っただけ。

あれだけ食べてまだ食べられるらしい。


そう思ったのも束の間、「彼」は車に戻ってくると語った。

「ウチの娘を選ぶなんて、君とは趣味が合いそうだ。帰りに食べなさい」

そしてたい焼きを包みごとすべて私にくれた。


あれから10年、私と、子育てをして健康的に痩せた妻は、「彼」と同居するため、この街に引っ越してきた。

あのたい焼き屋も健在だった。


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2009.1.21

今回のストーリーの舞台はこちら
●パークハウス フォレストリエ

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