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TOKYO RESIDENCE STORY
2:パークハウス上野毛四丁目

写真=石塚元太良 文=渡辺雄介

『半人前の男と、半人前の男』
『半人前の男と、半人前の男』写真=石塚元太良 文=渡辺雄介
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会社帰り。買ったばかりのマンションまでの上り坂。息子が半泣きで特訓していた。補助輪が取れたばかりの自転車で坂道を登ろうとしている。聞けば、幼馴染のショウ君に、自転車で坂道を登り切れなかった事を馬鹿にされたらしい。何度目かの転倒を見かねて、私は息子の肩を抱いて、こう諭した。
「いいか。いくらショウ君がこの坂道を登りきれるからって何も偉くないんだ。人生にはな、坂を登るより大事な事がたくさんある。たとえばパパはまだ平社員だ。給料だって多くない。結婚前なんてママに見向きもされなかった。でもここぞって時にだけ、頑張ればいいんだ。わかるだろ。ん? いつがここぞって時かって?
それは……もちろん好きな女を守る時だ! お前にもいるだろ、好きな女の子が! オイどうした。顔が赤いぞ。じゃ、たとえを変えよう。よし、弟だ。パパには弟がいるだろ。いつもお小遣いくれる、あのオジサンだ。アイツは小さい頃よくイジメられてな、その度にパパが相手の所に仕返しに行った。その時ばかりはパパも頑張った。お兄ちゃんとしてカッコ悪い姿見せたくないからな。アイツは頭が良くて、いい仕事して、今ではパパのはるか上の坂を登っている。でもそれも全部、あの時パパが頑張ったからだと思う……え、話が難しい?
すまん。つまりパパが言いたいのは……夜も寒いから、もう帰ろうって事。自転車の特訓なんて、また明日できるだろ。ショウ君だって夜は寝てるはずだよ」 「違うよパパ、ショウ君は関係ない。だから帰らない。特訓する」 「どうして?」
「僕、もうすぐお兄ちゃんになるから」
お腹の大きな妻が横で笑った。
「自転車で坂ぐらい登れないと、弟まで馬鹿にされるよ」
―まもなく半人前だった息子が、男になる。私も育った、上野毛四丁目で。

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2008.11.19
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