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暮らしのかたち
旅で出会った家とライフスタイル
vol.4 イタリアから見た日本 その1

文・写真=杉田基博+トランローグ・アソシエイツ

昨年2月、25年前にトスカーナで道に迷った私を、一宿二飯で持て成してくれたリビアーノとイソリーナの孫、ルカ(26歳)から届いた一通のメール。
私は、リビアーノから招待を受け、4月に彼らの住むボローニャを訪ねた。

そして昨年末には、建築事務所に勤めるルカと同僚マテオ(28歳)が千葉にある私の家とセカンド・ハウスを訪れた。

日本好きの彼らは、40代以上のイタリア人とは異なり、日本のライフスタイルを素直に、そして喜んで受け入れてくれたようだ。

昨年4月にボローニャから帰国してしばらくすると、ルカからメールが届いた。

「年末に訪日したいが、その頃の日本の様子はどうなの?」

「日本人にとって正月は1年で最も重要な時期なので、新旧様々なイベントを体験できて面白いと思う」私は回答した。

すると、早速フライト・チケットを予約し、細かいプランは訪日するまでの間、ゆっくり考えるとのことだった。

彼らが日本で絶対に訪ねたい場所、それは海外にはないカプセル・ホテルだそうだ。大学で建築を学んだ彼らにとっては、学術的興味の対象なのだ。

憧れの日本に質問攻め

12月29日朝、彼らは成田に到着した。

最初に向かったのはJRの窓口。彼らはイタリアで予約してあったJapan Railway Passという約4万5千円で2週間、座席指定の必要な新幹線を含む全国のJRに乗り放題というチケットを発券した。日本人であっても海外で購入すれば使えるそうだ。

彼らと私たち夫婦の4人は車に乗り込み、八丁堀にある私のオフィスを目指した。

彼らにとって初めて見る東京をドラマチックにプレゼンテーションしようと考え、レインボー・ブリッジ経由で都心に進入した。

そこが東京一番のビュー・ポイントの一つであることを告げるが早いか、彼らはすでにビデオを回し、写真撮影していた。

若いイタリア人建築家にとって新建築に溢れる東京は、まさにエキサイティングなのだ。

第18回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.4 イタリアから見た日本 その1
レインボー・ブリッジから都心へ。
ドラマチックなアプローチにイタリア人も納得
photograph: Luca Ladinetti

銀座経由で八丁堀のオフィスに立ち寄り、近くのファミリーレストランで昼食を取った。

「なぜ、多くの日本人がマスクをしているの?」

彼らは不思議そうに、そして不安げに尋ねた。確かにヨーロッパでは見慣れない光景だ。

「ある人は、インフルエンザや花粉から自分を守るためにマスクをし、またある人は、自分が掛かった風邪を他人に移さない様にマスクをします。後で二人に日本製の高性能マスクをプレゼントしましょう(笑)」

今度は日本語の挨拶について聞かれた。

「ありがとうは、ポルトガル語のオブリガードが語源というのは、本当?」

「確かに音は似ているし、そういう説があることも知っているけど、ありがとうは、有り難いという言葉が変化したものと考える方が自然と思う」

彼らは半信半疑だった。

「なぜ、日本では車は左側通行なの?」

マテオが尋ねた。

「100年ほど前、交通や郵便などはイギリスから、法律や医療はドイツから取り入れたと聞いている」

「イタリアからは何を取り入れたの?」

「音楽と・・・デザイン、ファッション、料理かな」

「どれも趣味的なことばかりだね」

その一言に皆で笑った。


まずは寿司から

昼食を終えると、私たちは再び千葉方面に車を走らせた。

イタリアにはないだろう60kmも延々と続くビーチに車で乗りつけ、彼らに太平洋の波に触れさせた。

第18回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.4 イタリアから見た日本その2
冬の太平洋を初体験するルカ。
「日本の冬は暖かい!」

夕食は座敷のある寿司屋を訪ねた。

下足箱の札を取り、掘りごたつ式のテーブルに座ると、彼らは目の前に運び込まれた料理の数々に目を丸くしながら好き嫌いなく、驚くほどよく食べた。

ルカはウニを、マテオはマグロの赤身が、大変気に入った様子だ。美味しい、美味しいと繰り返しながら口に運んだ。

彼らは、ボローニャでも日本食レストランに行くそうだが、本場の寿司は、ネタも作りも一味異なるようだ。

今や日本の寿司は、ヨーロッパでも大人気。ミラノやロンドンでも、多くのSushi Restaurantの看板が見られ、売店には透明パックに入ったにぎり寿司が並べられている。

自国の食文化にかたくなと言われるイタリアでは驚くべきことだ。今では世界中でマグロを奪い合い、日本人の口に入らない日も近いかも知れない。

第18回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.4 イタリアから見た日本その3
寿司屋で何でも食べてしまう
マテオ(中央左)とルカ(中央右)。
左端は私、右端は息子

家に戻ると、彼らは自ら用意したイタリア・ワインを代表するバローロ、デザート・ワインのヴィンサント、エスプレッソ、紅茶を私たちにプレゼントしてくれた。

さらに、リビアーノとイソリーナからのプレゼントとしてエスプレッソ専用のカップ&ソーサーとスプーンのセットを。

そして、イソリーナ手作りの定番、イタリア名物で固い歯ごたえのビスケット、カントッチョを30cm四方で20cmほどの深さのある大きなタッパーいっぱいに詰めてプレゼントしてくれた。優しい味で食べだすと止まらなくなる。

ルカはこれらお土産のためにスーツケースを一つ余分に用意していたのだ。私たちが国を超えた大家族になったような気持ちで、嬉しくありがたかった。

私たちはこたつに入って深夜まで、エスプレッソをいただき、ヴィンサントにカントッチョを浸して食べながら、明日から12日間の予定について語りあった。
(つづく)


第18回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.4 イタリアから見た日本 その4
客間からルカが撮影した
わが家の坪庭。

photograph: Luca Ladinetti

第18回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.4 イタリアから見た日本 その5
ルカが撮影したわが家の客間。
和のイメージを的確に捉えた渋いアングル

photograph: Luca Ladinetti

次回は、東京建築ウォッチングと、セカンド・ハウス滞在についてリポートします。
杉田基博+トランローグ・アソシエイツ
「住環境ビジネスをデザインする」をテーマに、住宅・インテリア関連企業の商品開発とブランディングを手掛ける。また、ワークショップやメディア活動を通して、住環境に係わるデザイン・カルチャーを広く紹介している。 詳しくは、ホームページhttp://www.tranlogue.jp/ならびにブログhttp://tranlogue.cocolog-nifty.com/blog/

2009.2.10

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