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暮らしのかたち
旅で出会った家とライフスタイル vol.3
イタリア ボローニャ郊外

文・写真=杉田基博+トランローグ・アソシエイツ

ルカと名乗る見知らぬイタリア人青年から届いた一通のメール。
彼は、25年前にトスカーナで道に迷った私を泊めてくれたリビアーノとイソリーナの孫とわかった。

私は、1日も早く彼らに会いたいと思い、2カ月後の08年4月、彼らの暮らすボローニャへと飛び立った。二人は7人の子どもと17人の孫に見守られながら幸せに暮らしていた。

今日は4人の子世帯が隣り合わせて暮らす分譲マンションを訪ね、ルカの家で茶会を催し、夕食をいただく予定だ。総勢19名の大パーティーだ。

太陽が傾きはじめた夕刻、私はリビアーノとイソリーナにプレゼントした茶道具と掛け軸、それに浴衣を持って80歳のリビアーノが運転するワゴンに乗り込んだ。

彼の運転に多少不安もあったが、彼がアクセルを踏み込んだ瞬間、不安は消えた。

神学校を卒業したリビアーノは、銀行に就職する以前、ボローニャの大司教の運転手を7年間務めていたのだ。まさにプロフェッショナル・ドライバーだ。

第17回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.3 イタリア ボローニャ郊外 その1
颯爽とハンドルを握る
リビアーノ

ボローニャ郊外の公園や畑のある一帯は、とても広々として明るく爽やかな印象だ。

木立のある静かな住宅街の一角に彼らのマンションはあった。

6世帯が横一列に並んだ2階建てメゾネットのうち、左側4戸にリビアーノの子どもたち家族が暮らしていた。

私たちはリビアーノに導かれ、生垣に取り付けられた木製の門扉を開け、奥行き10mほどの庭を通ってルカの家へと案内された。

第17回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.3 イタリア ボローニャ郊外 その2
門と塀越しに見る
ルカの家の前庭
photograph : luca Ladinetti

玄関ドアの隣にある勝手口を入ると、右側にI型のIH式キッチンが配置されていた。その奥に20畳はあるリビングと1段高くなったダイニングが続いていた。

イタリアならではのドラマチックな空間構成だ。

千里同風の思いを込めて

4家族が次々に現れて挨拶した。

私は、リビングのソファと椅子に家族を座らせ、お茶の準備を始めた。

第1に私は、リビアーノとイソリーナとの25年ぶりの再会の喜びを表現するため、京都大徳寺高桐院の住職によって書かれた禅書「千里同風」の軸を壁に掛けた。

それは文字通り、遠く離れていても、吹く風に変わりがないように、私たちはいつも繋がり、理解し合うことができる、というメッセージだ。

軸を掛けてリビングを茶室へと変えた後、湯を沸かすよう、ルカに頼んだ。

驚いたことにルカは、電子レンジで湯を沸かして持ってきた。

郷に入りては郷に従え。私は家族に和菓子を配り、お茶を立てて家族全員に一服ずつ振る舞った。

茶の色のせいか、「ピスタチオの味に似ている!」という声に数人がうなずいた。残念ながら「おいしい!」と叫ぶ人はいなかった。しかし、どこか神秘的な雰囲気に皆緊張しながらも目を輝かせていた。

第17回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.3 イタリア ボローニャ郊外 その3
ルカの家のリビングを
茶室に見立ててお茶会を

4軒一続きの庭、変化のあるインテリアに暮らす

セレモニーを終えると次は夕食だ。

私たち19名は、一斉に2軒隣りのルカの従兄弟、ダビデの家へと移動し、ケータリングしたピザをいただいた。毎日イソリーナが私のために食事の準備をするのはたいへん、と考えた子どもや孫たちの配慮でもある。

ルカの父は銀行員、ダビデの父は医師。1階がリビング・ダイニングと水周りで2階に個室、と両家の間取りはほぼ同じようだ。


第17回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.3 イタリア ボローニャ郊外 その4
エントランスから見たルカの家。
左のドアが玄関、右が勝手口

photograph : luca Ladinetti

4世帯の従兄弟たちは、一続きの庭で共に遊び、夏は好みの家の庭で夕食を共にしながら育ったそうだ。

家族の連帯や個人を主張する大切さなど、大勢で育つ環境だからこそ学べることも多い。

リビアーノとイソリーナ、そしてルカの3人は、日本土産の浴衣を着て皆に披露した。

皆、お腹いっぱいになり会話も一段落した頃、家族全員で記念撮影した。


第17回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.3 イタリア ボローニャ郊外 その5
ダビデの家のリビングで
総勢19人の記念撮影

写真写りの良いことで定評のあるイタリアン・インテリアのポイントは次の通り。

天井は3m以上でドアは2m以上。

照明はフロア・スタンドなど間接光に。

ソファ周辺にだけラグを敷いて床に変化を。

床に高低差をつけたスキップ・フロアで空間を立体的に

・・・といったところだ。



4時間近く過ごしただろうか。

リビアーノとイソリーナも多少疲れた様子なので私は彼らと一緒に帰路に着いた。

「モトヒロのおかげで今日は久しぶりに孫たちの顔を見ることができた。本当にありがとう!」

礼を言うのは私の方だ。私たちは幸せな気分で暗い夜道を走り抜けた。(つづく)

第17回 暮らしのかたち 旅で出会った家とライフスタイル vol.3 イタリア ボローニャ郊外 その6
左から、日本土産の浴衣を着る
イソリーナ、リビアーノ、ルカ。
ルカは建築家でギタリスト。
彼のスカ・ロック・バンドは
ボローニャ随一の人気バンド

次回は、昨年末に来日したルカのお正月ライフスタイル体験をリポートします!
杉田基博+トランローグ・アソシエイツ
「住環境ビジネスをデザインする」をテーマに、住宅・インテリア関連企業の商品開発とブランディングを手掛ける。また、ワークショップやメディア活動を通して、住環境に係わるデザイン・カルチャーを広く紹介している。 詳しくは、ホームページhttp://www.tranlogue.jp/ならびにブログhttp://tranlogue.cocolog-nifty.com/blog/

2009.2.4

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